合唱団じゃがいもの合唱劇 13

合唱劇 ポラーノの広場(委嘱初演)


原作  宮沢 賢治 「ポラーノの広場」
作曲  吉川 和夫 (2005)

《合唱団じゃがいも第10回委嘱作品》 芸術文化振興基金助成事業
・2009年(財)
  山形県生涯学習文化財団YAMAGATAアートサポート事業
・2009年(財)仙台市市民文化事業団助成事業


初演
  2005年11月5日 合唱団じゃがいも第32回定期演奏会
  (山形市中央公民館ホール)《2回公演》
再演
  2009年12月19日 合唱団じゃがいも第36回定期演奏会
  ・山形公演(山形市中央公民館ホール)《2回公演》
  2010年1月24日 合唱団じゃがいも第36回定期演奏会
  ・仙台公演(仙台市青年文化センター・シアターホール)




 合唱団じゃがいもが、宮澤賢治作品の合唱劇上演を始めてから10年がたち、原文どおりに上演できる短編作品は数多く取組んできたことから、賢治の長編作品の合唱劇化に挑戦することになった。林光ソングの中の「ポラーノの広場の歌」を長年愛唱してきた合唱団じゃがいもが、お話としての「ポラーノの広場」の世界に踏み込んだ。作曲を吉川和夫氏に引き受けていただいたものの、作曲完成までは、これまでになく困難を極めた。長い原文のどこを取り出し、どこを作曲するのか・・・。賢治の作品は、宝石箱をのように、どこを取ってもきらきら光る言葉に溢れていて、一部分を切り出すことは、とても難しい作業だった。
 2005年に初演した後、合唱団じゃがいもは仙台公演を始めた。第1回目は賢治の名作「銀河鉄道の夜」を上演。好評を博し、再度仙台で公演することなり、第2回目の演目としてあがったのが、同じ吉川氏による「ポラーノの広場」を「センダード(仙台のもじり)の毒蛾」の場面などを加えて再演すること。ストーリー性も重視した再演は、吉川氏のメロディーも一層魅き立ち、作品としての完成度が高まった。

Staff * スタッフ

演  出  山元 清多
指  揮  鈴木 義孝
台本構成  山元 清多・東海林 聡・鈴木 義孝
照  明  安達 俊章
美  術  神保 亮

クラリネット 南川 肇
ピアノ    郷津 由紀子
チェロ    〈初演〉金谷 昌治 〈再演〉山本 純

舞台監督  森谷 文一


Cast * キャスト

 
キュースト

ファゼーロ
ミーロ
ロザーロ

農夫



デストゥパーゴ
馬車別当
テーモ(地主)
夏フロック
クローノ
ポーショ
給仕

警部
ホテルの給仕

床屋の親方
床屋の弟子



撃剣の先生
年老いた人

村の楽隊




《初演(2005)》
東海林聡
伊藤由美
鈴木 恵
鈴木智和
中戸美緒





阿部 洋
鈴木俊明
森谷文一





多田敏之
横尾とも

《再演(2009)》
伊藤由美
鈴木 瞳
鈴木 恵
安藤江里和
郷津香乃

多田敏之
郷津幸男
森谷富美子

阿部 洋
渡邉秀至
藤江泰郎
久保健司
東海林晃太
森谷文一
斎藤美恵

安藤淳
安藤宏哲

鈴木俊明
森谷文恵
安藤宏哲
小野寺はるな

塚本万紀子
鈴木哲雄

郷津香乃  西村仁美
鈴木研子  鈴木裕美
鈴木瞳   多田敏之
郷津幸男  大江晴美
渡邉さや  鈴木烈

合唱劇 ポラーノの広場(委嘱作品)

《初演(2005)》
プロローグ・青い幻燈のように
1 遁げた山羊
   遁げた山羊
2 つめくさのあかり
   つめくさのあかり
   セロかトロンボーンのような
   いのししむしゃのかぶとむし
3 ポラーノの広場
   愉快そうなワルツ
   ワルトラワーラの峠を
   ポランノ広場の夏のまつり
   決闘
4 警察署
   ファゼーロの失踪
5 センダードの毒蛾
6 風と草穂
   風と草穂
   新らしいポラーノの広場の開場式
   ポランの広場の秋のまつり
エピローグ
   七年たって
   ポラーノの広場の歌

   《再演(2009)》
プロローグ・青い幻燈のように
1 遁げた山羊
   遁げた山羊
2 つめくさのあかり
   つめくさのあかり
   セロかバスのような
   いのししむしゃのかぶとむし
3 ポラーノの広場
   愉快そうなワルツ
   ワルトラワーラの峠を
   ポランノ広場の夏まつり
   決闘
4 警察署
   ファゼーロの失踪
5 センダードの毒蛾
   イーハトーヴォ出張
   なるほど毒蛾のことが・・
   なんだいこの薬は
   撃剣の先生
   デストゥパーゴさん、しばらくでした
6 風と草穂
   風と草穂
   新らしいポラーノの広場の開場式
   ポランの広場の秋まつり
エピローグ
   七年たって
   ポラーノの広場の歌

 

「じゃがいも」のパンフのために

                               山元清多 


 〈じゃがいも〉定期演奏会の合唱劇を演出させていただくのは、今年で三度目になります。ボクがこれまで演出させてもらったのは、最初の『虔十公園林』、二度目の『雪渡り』と、宮沢賢治の原作に吉川和夫さんが曲をつけた作品でした。そして今年も賢治の原作なのですが、なんとよりによってあの『ポラーノの広場』を、吉川さんが新作書き下ろしてしまったのです。
 賢治が書いた作品のなかに、二つの異なった『ポラーノの広場』があることはご存知の方もいらっしゃるだろうと思います。そのひとつは、賢治自身が劇の台本にして、農学校の生徒たちが上演したといわれる『ポランの広場』です。劇は、少年ファゼーロが夏の野原のパーティで山猫博士と決闘してやっつけるくだりのみで、劇中の「つめ草の花」の歌も賢治が作曲した楽譜が残っています。
 もう一つの方の『ポラーノの広場』は、ファゼーロと山猫博士の決闘の前後、とくに後日談に重点を置いて書かれた物語になっています。面白いのは、その物語がモーリオ市の博物局に勤める前十七等官レオーノ・キューストという人が書いたものを宮沢賢治なるものが訳したのだというかたちをとっているところです。どんな理由からなのか? 賢治は自分の願いを書く場所ではなく、誰かの夢や希望を翻訳して伝えるという役割の場所に身を置きたかったのかもしれません。とにかくも、ファゼーロたちは、この物語の最後で自分たちの本当の広場を見つけ出します。賢治の作品のなかでも、ちょっと異色で不思議な味わいを漂わせた短編小説と言えるでしょう。
 吉川さんは、この賢治の物語の中から、いつもにも増して透明感のある、悲しいまでに美しい、十五余りの合唱曲を取り出してくれました。簡潔な語りと大和が素敵な曲を繋いでいきます。いつにも増して楽しみな今回の「じゃがいも」との仕事です。

(第32回定期演奏会パンフレットより)