じゃがいもの合唱劇23
合唱劇 泣いた赤おに
【2019年委嘱作品 改定版初演】
原作 浜田 広介
作曲 吉川 和夫
演 出 恵川 智美
指 揮 鈴木 義孝
Staff * スタッフ
舞台監督 平野 礼子(劇団山形)
照明 庄司 大也
美術・小道具 安藤 淳
舞台 亀井 泰樹
伊藤 さや香
Orchestra * 楽士
ピアノ 郷津由紀子
マリンバ 星 律子
チェロ 山本 純
Cast * キャスト
赤おに 安藤 宏哲
青おに 鈴木 烈
きこり1 鈴木 俊明
きこり2 安藤 淳
じいさん 渋谷 一
ばあさん 西村 仁美
あらすじ
山の中に一人で住んでいた、赤おには人間たちと仲良くなりたいと思っていました。
しかし、人間たちはこわがって、誰一人として赤おにの家に遊びに来ることはありません。
そこで親友の青おにが、赤おにのためにある計画を立て、渋る赤おにを連れて実行に移します。
ことばと音をむすぶ~「泣いた赤おに」 吉川和夫(作曲家)
2017 年10 月、仙台クラシックフェスティバル[せんくら・うた劇場]公演のためのアンコールとして、ラストの場面「青おにの書き置き」を作曲しました。その後、合唱団じゃがいもから声をかけて頂き、文翔館創作劇場の上演曲目として、全体に作曲し、2019年3月24 日に文翔館議場ホールで初演しました。今まで、合唱団じゃがいもとともに作ってきた作品と同じく、文章は、多少省略することはあっても、基本的には原文そのままに作曲をする、ことばの置き換えや脚色は一切しないというスタンスです。
しかし、正直言って、「泣いた赤おに」全体を作曲することには、少々のためらいがありました。あまりにも有名な作品であること、すでに他の作曲家によって音楽化されていることが理由ですが、浜田廣介の文体に付曲する難しさも、ためらいの理由のひとつでした。例えば、「それはまるいたまごでした」と書かれても差し支えない文が、ひろすけ童話では「それはひとつのまるいたまごでありました」(「よぶこどり」)となっていたり、「ですから」が「それでしたから」(「むくどりのゆめ」)であったり、やや古風とも言えますが、大変丁寧な文体で書かれていますので、ひとつの文が長くなります。文が長くなれば、それだけ作曲するべき音が増えるので旋律が長くなり、話の運びが遅くなるのです。その点は、やはり文翔館創作劇場のために作曲した音楽童話「むくどりのゆめ」でも経験したことでした。それでも、作曲者としては、童話といってもあらすじだけを抜き出した作品にしたくはない、ひろすけ童話の格調というべきこの文体をまるごと音楽に乗せたいと考えていますので、作曲にあたっては話のテンポが緩慢にならないよう留意する必要がありました。
また、ひろすけ童話を音楽化する難しさは、文体だけではありません。ひろすけ童話の主人公たちには、どこか孤独の影が見え隠れします。母の面影を慕うむくどりの子(「むくどりのゆめ」)、いなくなってしまったひなを待ち続けるりす(「よぶこどり」)、星の光のように輝きたいと願う古い街灯(「ひとつのねがい」)。これらの主人公たちは、みんなひとりぼっちで何かを求め続けています。人間たちを喜ばせることはできたけれど、親友を失うことになった赤おに、友のために自己を犠牲にした青おにもまた、自分ひとりで生きていくことを引き受けなければならない孤独を抱えます。ユーモアと優しさで包み込まれた孤独と寂蓼感を描きだすのは、なかなか容易ではありませんが、音楽による広がりとともに、ひろすけ童話の魅力を聴き取って頂ければ幸いです。
合唱劇「泣いた赤おに」は、ピアノ1台を伴う作品として初演しましたが、このたびチェロとマリンバを加え、いくつかの部分を補筆しました。そのバージョンとしては本日が初演です。
公演詳細
【山形公演】
◆会場:山形市民会館
◆後援:山形県芸術文化協会、山形市芸術文化協会、山形県合唱連盟
◆チケット取り扱い:辻楽器店、富岡本店、山形市民会館
【東京公演】
◆会場:かめありリリオホール
◆チケット取り扱い:かつしかシンフォニーヒルズ(TEL:03-5670-2233)
かめありリリオホール(TEL:03-5680-3333)
プログラム
訳詞:谷川俊太郎 作曲:林 光 ピアノ:郷津由紀子
1. うつくしいのはげつようびのこども
2. メリーはこひつじかっていた
3. きらきらちいさなおほしさま
4. ちっちゃなボー・ピープ
5. ぼくがつきをみると
6. わたしのすきなこなひきさん
7. にちょうびトムはめでたくけっこんし
8. だれがこまどりころしたの
ピアノ:郷津由紀子
河の歌 スメタナ作曲「ヴルタヴァ(モルダウ)」による 作詩:林光
希望の歌 シベリウス作曲「フィンランデイア」の旋律による 作詞:林光 ヴァイオリン:茂木智子
埋められた武器の子守歌 作詞・作曲:クリスティナ・クラヘルスカ 訳詞:北川フラム
鳥の歌 カタルーニャ民謡 訳詞:北川フラム チェロ:山本純
死んだ男の残したものは 作詩:谷川俊太郎 作曲:武満徹
さくらんぼが実るころLe Temps des cerises [2011 年初演]
作詞:ジャン=バティスト・クレマン作 曲:アントワーヌ・ルナール 訳詞:林光
第3部 合唱劇 泣いた赤おに
プログラム
訳詞:谷川俊太郎 作曲:林 光 ピアノ:郷津由紀子
1. うつくしいのはげつようびのこども
2. メリーはこひつじかっていた
3. きらきらちいさなおほしさま
4. ちっちゃなボー・ピープ
5. ぼくがつきをみると
6. わたしのすきなこなひきさん
7. にちょうびトムはめでたくけっこんし
8. だれがこまどりころしたの
ピアノ:郷津由紀子
- 河の歌
- スメタナ作曲「ヴルタヴァ(モルダウ)」による
- 作詩:林光
- 希望の歌
- シベリウス作曲「フィンランデイア」の旋律による
- 作詞:林光 ヴァイオリン:茂木智子
- 埋められた武器の子守歌
- 作詞・作曲:クリスティナ・クラヘルスカ
- 訳詞:北川フラム
- 鳥の歌
- カタルーニャ民謡
- 訳詞:北川フラム チェロ:山本純
- 死んだ男の残したものは
- 作詩:谷川俊太郎 作曲:武満徹
- さくらんぼが実るころ
- Le Temps des cerises [2011 年初演]
- 作詞:ジャン=バティスト・クレマン作
- 曲:アントワーヌ・ルナール 訳詞:林光
第3部 合唱劇 泣いた赤おに
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