合唱団じゃがいものプロフィール

1974年以来、今年で活動46年目となる混声合唱団。メンバーは、山形市周辺を中心に、庄内や置賜、更に仙台・東京等、県外からも、社会人、学生、小中高生など幅広い年代が集まっている。練習は週1回、山形市内の公民館で行っている。
毎年、秋の定期演奏会と春の文翔館コンサート、それから学校の音楽教室を中心に活動している。
 
近年は、客演に作曲家の林光氏、萩京子氏、吉川和夫氏、演出家の加藤直氏、山元清多氏らを迎え宮澤賢治作品の「合唱劇」の創作初演に取り組んでいる。合唱と劇を融合し、うた・かたり・うごき・音楽を組み合わせた合唱劇は、新しい表現の形で、全国的にも取り組む団体が増えてきているが、その新作を山形から次々に発信している。2008年には『合唱オペラ セロ弾きのゴーシュ』(林光作曲)を合唱劇版初演し、さらには、2009年1月、かめありリリオホールで2度目の東京公演を行い、その明るく温かい演奏が好評を博し大成功を収めた。 以来、『音楽劇 かしわばやしの夜』『合唱童話 銀河鉄道の夜』(林光作曲)『合唱劇 銀河鉄道の夜』(吉川和夫作曲)『合唱劇 マユコの森』(蓬莱泰三脚本、吉川和夫作曲)『合唱オペラ 森は生きている』(林光作曲)を東京で公演するなど、県外公演も毎年行っている。
 
また、学校行事やPTA行事として各地の学校を訪問し、一緒に歌ったり、一緒に合唱劇を演じたりして、こどもたちと歌うことの楽しさを共有している。
合唱団じゃがいもの特色は、大人とこともがいっしょに歌っていることで、家族ぐるみで参加している団員も多く、「親じゃが」と「子じゃが」が、共同し、時に張り合いながら、互いに成長していく姿を、舞台にのせている。いっしょに歌える合唱作品が少ないことから、委嘱することでそのような曲をみずから増やしている。
 
2017年第27回イーハトーブ賞奨励賞を受賞。
2018年第35回定期演奏会『合唱オペラ 白墨の輪』、2001年第28回定期演奏会『合唱劇 注文の多い料理店』で山形県県民芸術祭大賞を受賞。
1989年第16回定期演奏会で山形市芸術文化協会奨励賞、1993年第20回定期演奏会、2009年第26改定期演奏会で県民芸術祭優秀賞、1995年第22回定期演奏会で山形市芸術文化協会賞を受賞。
平成26年度県民芸術祭・山形市芸術祭開幕公演・山形市制施行125周年・山形市民会館開館40周年・山形市芸術文化協会発足30周年 記念公演で『合唱オペラ 森は生きている』を上演。
 
 

合唱団「じゃがいも」のための広告     林 光

 「じゃがいも」は不思議な集団である。合唱団というのは、しばしば規律だとかきびしい練習だとか勢いだとかがおもてに出て目立つものだが、じゃがいもにはそれがない。
 なんとなく楽しげで、はたから見るとのんびりとさえ思える行動が、かれらの規律であり練習であるらしい。ゆったりとした練習場は居心地がいいから、団員の娘や息子たちはその片隅で遊んだり本をよんだりして過ごし、そのうち当然のように正式のメンバーになって行く。
 子じゃがと呼ばれてさいしょは自分らの出番をつくってもらっていた彼らは、やがて成人して親たちと肩を並べるようになる。最近は「孫じゃが」たちがそのあとを追いはじめている。
 好奇心、肩をいからさない、自然体の声と演技、これらのじゃがいも流をつくり出した中心に、結成いらいの指揮者鈴木義孝さんがいる。ヴォイス・トレーナーに声をつくってもらっておいて、おもむろに「指導」するというような合唱指揮者からもっとも遠いところに彼はいる。このような、合唱共同体とでもいいたい集団はめったにない。
 だからぼくはいくつもの実験的な合唱作品の初演を鈴木さんとじゃがいもに委ねてきたし、それを後悔したことはない。
 「合唱がすべて」とむきになったりしないじゃがいもの良さをことばで伝えるのはむずかしい。実物にふれてお確かめください。